清楚は無疵をいうんじゃない

なによりもまず詩人でありたい、だれよりも無名として書きたい。

博多の丸善とブックオフに行きました

 昨日は本屋さんに行きました。

 最近買ったお気に入りの古着のブカブカ黒革ジャンにリーバイスシルバータブのグレーのデニム(ルーズという太いモデル)、リーボックのかわいいスニーカーを履いて「レイブ+グランジ」な感じを気どりました。
 レイブとはヨーロッパのクラブで遊ぶ小僧たちのファッションスタイルです。グランジは古着をリアルに粗雑に着るスタイルです。
 最近90年代のクラブミュージックが好きで、とくにフランスで流行したプレイリストをよく聴いています。
 Kitsuneとかいいよ!(クラブじゃなくてCafeって書いてあるし、これが90sかはわからない)
 




 後このModeratorってひとの音楽が好き。踊るための曲かはわからぬ。

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 ちなみに最も好きなアーティストはバッハとシドバレットです。

 丸善には一時間くらいいて、欲しいものはいっぱいあったけれど、予算がないので厳選してこれ。



 今回「いま読みたい!」と思わせてくれたのは、川野芽生(ごめんなさい、ずっとカワノメイって読んでました、メグミです)の「かわいいピンクの竜になる」になります。

 もう、こういう方ほんとに好き。美しきプライド。誇り高き少女性。冷たい拒絶と硬い軽蔑。あまりにも高い美意識はきよらかな塔へと昇りゆき、完全無欠なガーリー衣装に天上の羽として織り包まれるよう。孤独は、守護するものです。

 「女の子らしい」というのは彼女にとってフィクショナルで御伽噺的なものだったが、身嗜みを女の子らしくすると男性から「性的使用可能である」とみなされ、「モテたくないならなんで可愛くするの?」という傲慢な言葉を投げられる。
 それゆえに完全無欠に少女的で、男への媚のかおりのしない「ロリータ」は精神的にわたしに似合う、だそうです。

 「わたしは自分が可愛いと信じている」「わたしは振袖やロリータが似合うに決まっている」、すがすがしい。好き。プライドの高いほうが好きという彼女こそ高貴なる御方でしょう。

 ちなみにぼくは男性なので読んでて傷つくし、川野さんは恋愛欲求も性欲もないし男性側への知的配慮はあれど共感はないので(持てるわけない)、男性が当たり前にもっている気質へグサグサナイフを突き立てます。しかし、本質的なことをいっているともいえるでしょう。
 昔吉行淳之介の文学に女性の愛読者が増えたことを「女が吉行文学を読むのは、吉行のもつ銃の先に花として括られるようなもの。いつ撃たれるかわからない」と表現したひとがいましたが(吉行淳之介はプレイボーイの女性嫌悪作家としてよく語られます)、川野さんのエッセイを男性が読むのはそれとは比較にならないくらい痛い。易々と燦燦たる刃で刺されるようなものでしょう。

 ちなみに好き好きいいましたが、魂というか芯というか背骨が好きなだけです。もちろん「Lilith」という第一歌集を偏愛しているというのが第一です。
 二階堂奥歯という編集者の思考や美意識にぼくは憧れているのだけれども、どちらかが好きな方は、もう一方も好きだと思う。水沢なおとシモーヌ・ヴェイユをこれに足せば大方わたしです。

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 ブックオフでは江國香織の「すみれの花の砂糖づけ」、マルキ・ド・サド(ぼくは作家名に貴族の称号であるドを付けるのがあんまり好きじゃないのだけれど、サドは似合う)の「新ジェスティー」、あと掘り出し物でジイドの「ユリアンの旅」を購入しました。

 「すみれの花の砂糖づけ」は一見日記みたいだけど、よくよく読むと平易なことばのなかに肉感が幽かにあるというか、それが世界という舞台で違和をともなって掠れているように想った。その掠れる音の綺麗なのはたしかに詩だとおもったけれど、小説のほうがいいと思った。
 精神病院に入院中は「きらきら光る」を読んで、すごく好きだったな~。主人公の女性がぼくとおなじで躁鬱ぎみ。

 サドはぼくの追究する主題を深めるために読まなきゃと思うんだけど、ちゃんと一冊を読めたことがない。おなじ感覚で、マンディアルグも面白くない。三島由紀夫みたいに象徴的な様式として読めばいいのだろうか。
 「O嬢の物語」を除いて、文学以外も含めてエロティシズムのコンテンツにあまり興味がわかない。性的な欲求が少ないのではなく、性的なものへの文化的・学問的な追求心がわかないのかもしれない。性はぼくにとってうす暗く後ろめたいもので、限られた状況下を除いて処理の対象でしかないような気がする。
 ちなみにぼくにとりO嬢の物語ほどにエロから遠い貞節的な物語はない。魂が肉が引き離されて往く物語だと想っている。

 ジイドは家に幾つかあるんだけど読んだことがありません。基本的に疾患の症状で文章が読めないので、どうしても読みたいものを優先してうんうんにらめっこする日々、こちらも後回しになるでしょう。はやく多読できるようになりたい。

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 電車で江國香織を読み、帰ったらすぐ寝て、いつもどおり0時すぎに起きて「かわいいピンクの竜になる」を読みました。
 躰へまとわせるすべての装飾を愛する方におすすめです。